GIGAスクール構想とは何ですか?         by FUKUDA

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1 ICT能力を高めるGIGAスクール構想とは
「ICT」はInformation and Communication Technology の頭文字をとった言葉で、日本語の意味は「情報通信技術」である。さらに、ICT能力を高める「ICT教育」を簡単にいうと、パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法(児童生徒にとっては学習法)のことであり、従来からある「情報教育」の重要な観点「情報活用能力」をさらに進化させた教育ということができる。
学校では、GIGA(Global and innovation Gateway for all)「すべての人に、国際的・革新的な入り口」を、学校で作り上げることを目的とした「GIGAスクール構想」の準備が進んでいる。構想の実現のために、コンピュータやインターネット環境の改善が進行中である。GIGAスクール構想は、まず第一にICT教育をさらに普及・実践することにより、児童生徒にICT能力を身に付け、高めることにある。 *その他の目標は後述する。
では、現在、なぜ、教育現場でGIGAスクール構想が立ち上がったのだろうか?

2 日本のICT教育の現状
日本でも、コンピュータを使った教育や児童生徒のパソコンスキルは、かなり高まってきているように思われる。確かに情報教育の広がりに合わせて教育の世界でもコンピュータの存在は高まってきた。しかし、「ICT」教育に関しての現状はどうだろう?
実は、国際的なデータによると、日本のICT教育の水準は、OECD(経済協力開発機構)に参加国している国々37カ国(2021年3月現在)の中で何と最下位であるという。
なぜ、我が国がこれほど遅れをとってきたのか?それは学校の先生方がコンピュータを未だに使えない、または使いこなせないことが原因であると言われる。先生が十分に使いこなせないから子どもたちに教えられず、当然ICT教育を進めることができなかったのである。
また、他のデータでは、学校の宿題をICT、つまり情報通信技術を活用してすすめることができる子どもの割合は、OECD参加諸国では平均22.2%であるのに対し、日本は3.0%であると発表されている。
当たり前となった高度情報化社会において、ICTを活用する能力は必要不可欠であり、GIGAスクール構想は子どもたちにとって、また我が国にとって未来への布石となり得るものだ。

3 ICT教育で改善できること
日本の先生方が最も得意としている一斉授業。国際的に見てもかなりレベルが高いと感じる。筆者もアメリカで小・中・高・大と全部で16校ほど授業を視察したことがあるが、教師一人が多人数を相手に効果的に指導する授業は日本の先生方のほうが優れている。しかし、一斉授業の弊害も見直さなければならない。「落ちこぼれ」と言われてしまう子どもたちの存在である。
一斉授業の中で、学習活動についていけなかった子どもたちや、必要な個別指導を受けられなかった子どもたちを「救うための手立て」は様々な研究や実践がなされてきた。しかし、必ずしも十分ではない・・とも感じている。
ICT教育は「個別指導」にこそ真価を発揮できるものと期待している。子どもたちの理解度に合わせて個別に対応できる。一人ひとりの理解の様子や習熟度を確認でき、同時に必要な支援を行うことができることがその理由である。

4 ICT教育を進める上で必要はものは何か?
(1)子どもたち一人に1台のコンピュータ
現在、多くの学校ではGoogle OSを搭載したChrome bookが導入されている。タブレットと称されてはいるが、実はキーボードがついたノートパソコンである。もちろんタブレットとして使用することもできる。ちなみにChrome bookは安価であり、高価なwindowsやmacのような高性能パソコンではない。パソコン自体の性能は低いが、アプリはネット上で動かすためこれで十分なのである。さらに、サーバーが学校独自のものでなく、公共サーバになるためコストダウンが見込まれる。
(2)外部人材
先生方や子どもたちがICTを使いこなせるように指導できる人材が必要である。Chrome bookを丸投げするだけなら、教育的効果は上がらない。むしろ、コンピュータを使わない先生方が昔以上に増えてICT教育どころではなくなってしまうだろう。必要なのは先生方の先生にもなる外部講師である。*もちろんその道のエキスパートである学校の先生でもよいが人数にはかなり限りがある。
(3)その他 ハード面
・モバイルルーター(地方自治体の計画と予算による)
・PCカメラとマイク(ズーム等のホスト用)*子どもたちはChrome bookに内蔵と思われるが、マイクに関しては要確認
・情報交換 学校間の情報交換やすぐれた実践の公開等

5最後に
情報教育に携わってきた教師の一人として、GIGAスクール構想には大きな期待をもっている。インターネットをはじめ、情報の嵐の中に余裕をもって船出できる実力をつけてほしい。

*windowsパソコンの学校導入時には、かなり大きかった先生方の拒否反応も、今回は軽減されることと思われます。
先生方におかれましては「楽しみながら慣れること」からはじめていただきたいと思います。

それでは!

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