アーリーからの手紙を解説します!

 今回は、お問合せが多かった「アーリーからの手紙」について解説します。

 平成三十年の八月八日のことでした。足利市立図書館で「学童疎開の資料展示会」が開催されました。小さなスペースではありましたが、疎開した子どもたちの写真や、生活を表した絵に吸い込まれるように見入ってしまいました。
 アーリーの手紙の原案は、すでに書き上げてありましたが、展示会を拝見して「アーリーを速く世に送り出してあげたい。」という気持ちが一層高まりました。
 私が住んでいる足利市では北郷村光明寺様、御厨町宝福寺様、そして今回、お話の舞台とさせていただいた長林寺様が子どもたちの生活の場だったそうです。

あらすじ
 アーリーは、父がアメリカ人、母が日本人。とても明るい女の子である。
 父は、アメリカ合衆国海軍の将校で、戦争が始まる直前に妻と娘を残して、やむなく帰国しなければならなかった。
 アーリーは、仲のよい級友たちと学校生活を送っていたが、母親の実家がある広島県に移り住むことになった。
 手紙で近況を報告し合うことが、彼女と級友たちの唯一の楽しみとなっていたが、戦況の悪化とともに、級友たちは栃木県の足利市に疎開し、長林寺というお寺を宿泊地として戦火を逃れていた。
 そのため、アーリーと級友たちはしばらく音不通となり、互いに安否を気遣いあう日々を過ごしていた。

登場人物
・アーリー
 *子どもたちの元クラスメイトでしたが、本シナリオでは実際に舞台に彼女が登場することはありません。アーリーから届いた手紙を子どもたちが次々に朗読することで、彼女の存在や気持ちを表現してください。
・級友たち
 *本シナリオでは、便宜的に名前をつけています。実際に演じる人数によって、自由に振り分けてください。また、必要であれば役や台詞を付け足していただいてけっこうです。 *台詞がない場面でも、集団演技として、十分に自己表現できるように配慮しています。子どもたちの自発的かつ自然なリアクションを期待しております。


演出のヒント
 本編をご覧になると気づかれると思いますが、アーリー本人は登場しません。子どもたちの回想の言葉の中や、アーリーから届いた手紙を読み合うことで、アーリーの存在を表現したいと考えました。つまり、本当に主役がいない・作らない劇です。
 アーリーは常に、級友たちの視線の先にいます。アーリーに意地悪を言った子どもたちは、その言葉を思い出した後、深く反省します。アーリーが走るリレーのシーンでは、級友たちが上演している会場をトラックに見立てて視線を動かしながら応援します。演じる子どもたちの心が一つになれば、必ず素晴らしい舞台になることを保証します。
 本作を発表するにあたり、プロローグとエピローグを追記しました。必要に応じてご利用ください。
 アーリーは、最後の手紙を級友に送ってからどんな生活を送っていたのでしょう。気になる言葉は、広島ですが、私(作者)は、彼女が元気にそして幸せに人生を歩んだものと信じています。

興味のある方はこちらをのぞいてみてください。

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