シナリオ公開「大小山の天狗様」

児童劇のシナリオを1つ公開します。

足利市にある大小山のお話です。

あらすじ
 昔々、下野国(今の栃木県)に富田村という小さな村がありました。村人たちは村の北西に鷹巣や真大小山に見守られながら、毎日一生懸命に働き、田んぼや畑では毎年たくさんの収穫をあげることができました
 しかしそんな豊かな富田村を悩ませることがありました。それは、お隣の上野の国(群馬県)の赤城山から吹いてくる強風赤城おろしです。赤城山からの風は、年々強く吹き荒れるようになり、最近では、農業用水はおろか巻いたばかりの作物の種までも吹き飛ばすほど強くなってきました。
 困り果てた村人たちは、御巣鷹山に住むと言い伝えられている天狗様にお願いをすることにしました。

登場人物
・太郎天狗・次郎天狗・半兵衛(村長)・村役2人・村人10~20人程度としておきます。台詞の付け足しや割り振りは自由に行ってください。また、役名は、仮につけていますので、子どもたちと相談の上、変更していただいてけっこうです。また、シーン(たとえばボーロンを唱えるシーン)に様々なアレンジを加え、繰り返すことで上演時間の延長も可能です。

1 祈り
 *効果音(風が吹き荒れる音)
 *舞台中央に村人たちが集まって座っている。両手を合わせ祈りを捧げている。
 *村長顔を上げて
村長「天狗様。御巣鷹山の天狗様。そこにおいででしょうか。私たちは富田村の村人でございます。天狗様お願いでがございます。」どうか、赤城のお山の風をお鎮めくださいませ天狗様。
村役1「赤城のお山の風は毎年毎年強くなってます。今年も田んぼの水や畑の種が吹っ飛んでしまいました。」
村役2「稲村や寺岡の畑は砂で埋まってしまいました。
村役3「西場では吹き飛ばされた子どもが出流川に(いずるがわ)流されそうになりました。」
村人全「天狗様~。赤城のお山の風を鎮めさせたまえ~。この風を鎮めさせたまえ~。」
 *村人全、深々と頭を下げる。
 *風の音大きくなり、村人は身を震わせながらも懸命に祈る。

2 天狗登場
 *風の音、小さくなり、舞台後方に設置したひな壇上に二人の天狗が現れる。
 *太郎天狗額に手をかざし、下界にいる村人の様子を確かめる。


太郎天狗「次郎天狗。何やら下界がさわがしいのう。」
次郎天狗「兄者。また雨を降らせろとか、今年も豊作にしてくれとか、勝手なお願いでしょう。さっさ、ほっといて先を急ぎましょう。。」
太郎天狗「そだねー。」
次郎天狗「兄者・・それは、ちょっぴり時代遅れの流行語だったりして・・。」
太郎天狗「そ・・そうか。気に入っておったのだが・・。で、次郎天狗、我らの行き先は?」
次郎天狗「え~もう、忘れちゃったんですか?打ち合わせですよ。打ち合わせ。」
太郎天狗「おお・・そうか!忘年会の打ち合わせだったな。まったく気が早い。」
 *次郎天狗、再び手をかざし村人のようすを観察する。
村人1「天狗様。お願いでございます。この強い風をお鎮めください。」
村人2「無理なお願いとは存じますが。おすがりできるのは天狗様しかいらっしゃいません。」
村人全「お願い申し上げます。」
 *次郎天狗、その様子を見て。
次郎天狗「兄者、我らに真剣な願い事のようす。」

太郎天狗「おお・・真剣な願い事とな・・。ちょっと寄り道していくか?」
 *天狗たち顔を見合わせてうなずく。
 *大きな音(太鼓連打など)
 *天狗たち下界(ひな壇下)に飛び降りる。 *続いて拍子木だんだん速くなってチョン。 *天狗たち歌舞伎見得を切るポーズ。
村長「あ・・あなたさまは・・。」
 *歌舞伎風に
天狗たち「問われて名乗るもおこがましいが・・。御巣鷹山は阿夫利神社の兄弟天狗だあ~。」
村人全「て・・天狗様~!天狗様のお出ましだ~!!」
 *村人たち、天狗の登場に驚き、天狗たちをはさんで左右に移動。
村人たち「ありがたや~ありがたや~。」
 *村人たち、さかんに天狗たちを拝む。
次郎天狗「き・・・・決まった!」
 *次郎天狗、かっこいい登場にご満悦だったが、太郎天狗は気さくな性格。
太郎天狗「うん?みんな・・何かごよう?」
 *村人たち緊張がほぐれる。
次郎天狗「兄者。せっかくポーズ決めたのに・・。」

3 赤城山の御風
 *天狗たちひな壇に腰を下ろす。
 *村人たち天狗を囲んで強風について話をする。
 *天狗たち腕を組んで聞いている。
村人3「天狗様、毎年強くなる風で作物はおろか、けが人まで出るのです。」
村人4「うちの母ちゃんが吹き飛ばされて腰を痛めました。」
太郎天狗「何、母上が・・。」
村人5「うちの子は、飛んできた枝で足の骨を折りました。」
次郎天狗「何、童が・・。」
村役1「天狗様。お願いでございます。赤城山からの風をお鎮めください。」
村人全「風をお鎮めください。」
 *腕を組んでゆっくり天狗たち立ち上がる。次郎天狗「兄者、いかがいたします?」
太郎天狗「皆の気持ちはよくわかった。」
 *村人たち体を乗り出すて答えを待つ。
太郎天狗「しかし・・それは・・できん。」
 *村人たちがっかりして肩を落とす。
太郎天狗「この強い風は、赤城山の神々が吹かせている御風(おんかぜ)じゃ。」
村長「神様の風なのですか・・。」
太郎天狗「村々に次の季節をもたらすこの御風を止めるわけにはいかん。」
村人6「そ・・それじゃ、わしらはどうなるんじゃ。」
 *村人たち顔を見合わせて戸惑う。
太郎天狗「しか~し、御風を散らすことはできる。」
 *太郎天狗、次郎天狗に耳打ちする。
次郎天狗「なるほど!その手がありましたか、兄者。」

4 それゆけボーロン
 *次郎天狗、舞台袖(もしくはひな壇後ろから)中央に風と書いた大うちわを2本持ち出し太郎天狗に一本を渡す。
太郎天狗「よいか皆の衆。これから御風を雲の上にお導きする。見ているがよい。」
 *村人たち、呆然として天狗たちを見守る。 *太郎天狗・次郎天狗かけ声とともに舞台から客席のやや上方を仰ぐ。
 *BGM風の音は、二人の動きが止まるまで大きくなったり、小さくなったりする。
 *二人の動きはシンクロさせる。
太郎天狗「それゆけボーロン。」
次郎天狗「それゆけボーロン。」
太郎天狗「御風(おんかぜ)ボーロン。」
次郎天狗「御風(おんかぜ)ボーロン。」
 *天狗たち舞台上手・上空・下手へと仰ぐ方向を変えながら風を送る。
太郎天狗「それゆけボーロン。」
次郎天狗「それゆけボーロン。」
太郎天狗「御風(おんかぜ)ボーロン。」
次郎天狗「御風(おんかぜ)ボーロン。」
村人7「そうだ、村の衆、おれたちも天狗様といっしょに風を散らそう。」 
*村人たち、団扇や扇子を舞台上手・下手から用意し始める。用意できた者から天狗たちとの仰ぎに加わる。
太郎天狗「それゆけボーロン。」
村人たち「それゆけボーロン。」
次郎天狗「御風ボーロン。」
村人たち「御風ボーロン。」
太郎天狗「それゆけボーロン。」
村人たち「それゆけボーロン。」
次郎天狗「御風ボーロン。」
村人たち「御風ボーロン。」
天狗たち・村人たち「それゆけボーローン!」
 *効果音 雷の音(小さく)
 *全員の動きがピタリと止まる。
 *効果音 雷の音(大きく)
 *村人たち耳を押さえてしゃがみ込む。
 *天狗たち、顔を見合わせてうなずき、舞台下手へ退場。
 *村人8立ち上がり周囲を見渡す
村人8「止んだ・・みんな、風が止んだぞ・・・。」 
 *村人たち、ゆっくりと立ち上がる。
村人9「雲が、雲があんなに流れている。」
村長「御風が雲の上に行ったのだ。天狗様ありがとう・・・。」
 *村長が振り返るが天狗たちはいない。
村役1「天狗様、天狗様がいらっしゃらない。」
村人全員「天狗様~。天狗様~。」
 *周囲に声をかけるが天狗たちは見当たらない。
村長「天狗様たちは、鷹巣山へ帰って行かれたのだ。」
村人全員「天狗様。ありがとうございました。。」
 *BGM(フリーBGM日本式風景)
 *村人全員、舞台下手に深々と頭を下げる。 *村人たち、田畑を切り開く者、種を蒔く者、稲を刈り取る者など、それぞれ農作業のジェスチャーを始める。

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